
知っておきたい消費者庁からの空間除菌に関する指導内容
・公開日:2021.10.05最終更新日:2021.10.05
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新型コロナウイルスの感染予防をうたう空間除菌グッズがいくつも登場する中で、「景品表示法」に違反するとして消費者庁からの行政処分を受けた商品があります。
この記事では空間除菌剤の概要とともに、消費者庁が公表した注意喚起・行政指導の内容を解説していきます。
ウイルス除去の効果を期待できる空間除菌剤の選び方なども紹介しているので、除菌グッズ選びでお悩みの方・不安をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。
消費者庁から措置命令が出された「空間除菌剤」とは?
まずは、空間除菌剤がどういった商品なのか、成分の概要と効果について詳しく見ていきましょう。
また空間除菌をうたう一部の商品に対しての消費者庁の対応もまとめています。
空間除菌剤の特徴と主な成分
空間除菌剤とは、除菌効果を持つ成分の噴霧により、空気中のウイルス・細菌を死滅させる商品のことです。
現在は主に「安定化二酸化塩素」という成分が使われています。
安定化二酸化塩素は二酸化塩素をアルカリ性水溶液に溶け込ませたもので、空気中のウイルスに触れることにより細胞膜を破壊・不活化させる効果が期待できます。(詳しい効果は後述)
その有効性・安全性は世界的にも承認が進んでおり、FDA(米国食品薬品局)・EPA(米国環境保護庁)・WHO(世界保健機関)などで既に認証済みです。
一方、日本ではまだ医薬品・医薬部外品としての認可は下りておらず、国内で販売されている空間除菌剤はすべて「雑貨」という扱いになります。
雑貨品の場合は医学的な効果をうたうことが薬事法で禁止されており、例えば「インフルエンザに効果がある」「感染症予防ができる」といった表示を行うことはできません。
しかし一部の商品でこういった表示が行われたことから、消費者庁による行政指導が入る事態となったのです。
消費者庁からの公表内容(2020年5月)
消費者庁では、以下のような表記を行った空間除菌剤の販売事業者5社(「ウイルスシャットアウト」を販売する東亜産業など)に対して、優良誤認の再発防止を求める行政指導を行いました。
- 身につけるだけで、空間のウイルスを除去
- 身につけるだけで1立方メートルの空間除菌
- 携帯することで、オフィスや会議室などで除菌・消臭できます
- 通勤時の予防として、除菌・消臭いたします
- 電車やバスの中、各種施設の中などで、空間に浮遊するウイルス・菌・臭いを除去します
また消費者庁の各種SNSアカウントでも、一部の首掛け空間除菌剤に対して以下のような注意喚起が行われています。
携帯型の空間除菌用品について、「身につけるだけで空間除菌」等の表示が行われていることがありますが、当該表示の根拠とされる資料は、狭い密閉空間での実験結果であることがほとんどです。
風通しのある場所等で使用する際には、表示どおりの効果が得られない可能性がありますのでご注意ください。
2020年5月に公表された5社に対する消費者庁の行政指導の詳細はコチラ(https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_200515_02.pdf.pdf)をご参照ください。
空間除菌剤に対する消費者庁の行政処分執行は2014年にも
消費者庁が空間除菌剤の販売事業者に対して行政処分を行ったのは今回が初めてではありません。
2014年3月にも、今回と同じく優良誤認にあたる可能性があるとして、「クレベリン」を販売する大幸薬品や「クイックシールドエアーマスク」を販売する中京医薬品など17社を公表、行政指導を行っています。
空間除菌剤には効果がない?商品選びのポイント
消費者庁から行政処分を受けたからといって、安定化二酸化塩素そのものに効果がないわけではありません。
行政指導が入る原因の多くは“雑貨品であるにもかかわらず医学的効果をうたった”という表記の問題であり、安定化二酸化塩素に対するものではないからです。
続いて、安定化二酸化塩素の効果と、空間除菌剤を購入するときのチェックポイントについて詳しく見ていきましょう。
二酸化塩素が持つ除菌効果
安定化二酸化塩素は、細菌・ウイルスの細胞膜を構成するタンパク質に触れることで「酸化」という作用を起こすのが特徴です。
酸化反応が起こると細胞膜のタンパク質が破壊されるため、細菌・ウイルスの機能が低下し、最終的に死滅するという仕組みです。
安定化二酸化塩素の除菌力は、同じく酸化作用を持つ次亜塩素酸水よりも強力だと言われています。
更に、安定化二酸化塩素は人体への害性がない安全な成分であるため、次亜塩素酸水に代わる除菌成分として多くの空間除菌剤に使用されているのです。
効果検証の内容・結果をチェック
消費者庁から行政処分を受ける原因として、効果検証が不十分であるという点も挙げられます。
例えば2014年に行政処分を受けた大幸薬品の「クレベリン」は、「置くだけで空間に浮遊するウイルス・菌・ニオイを除去」といった表記をしたことで処分の対象となりました。
このとき、大幸薬品は効果の根拠となる資料を提出していますが、密閉空間での実験データであったことから、生活空間での効果を示す根拠にはならないと判断されました。
2020年に消費者庁から行政処分を受けた5社についても同様で、商品の利用が想定されるシーンでの効果検証が行われていないために不当表示の対象となっています。
このことから、空間除菌剤を購入する際は、適切な効果検証が実施されているかどうかを確認したうえで商品を選ぶ必要があると言えます。
空間除菌剤に対する効果検証のデータは、各商品の公式サイトに掲載されているケースが多いので、購入前に一度チェックするようにしてみましょう。
広い室内でも検証済み!おすすめ空間除菌剤「AC plus」
当メディアを運営する株式会社AC plusでは、タブレット型の空間除菌剤「AC plus」の販売を行っています。
AC plusはエアコンのフィルター部分に設置して使用することで、エアコンの送風とともに安定化二酸化塩素が散布され、部屋全体を除菌できるという商品です。
実際に実地試験施設の事務室・応接室を使ったサンプリングが行われており、AC plusの設置によって空気中の生菌数が減少することが確認されています。
すべてのウイルスに対して100%の効果を発揮するものではありませんが、一定の空中浮遊菌の減少効果は見込めると言えるでしょう。
詳しい試験データはコチラ(https://www.ac-plus.jp/)に掲載されているので、購入をお考えの方はぜひ一度チェックしてみてください。
消費者庁による行政指導の概要と除菌グッズ選びのポイントまとめ
- 安定化二酸化塩素は世界的にウイルス除去効果・安全性が認められているものの、日本ではまだ医薬品・医薬部外品として認可されていない
- 雑貨品であるにもかかわらず医学的効果をうたった空間除菌剤に対し、消費者庁から注意喚起・行政処分が行われている
- 空間除菌剤を購入する際は、適切な効果検証の実施・結果が公開されている商品を選ぶのがおすすめ
今後、医薬品・医薬部外品として認可されることが期待される安定化二酸化塩素ですが、現状はあくまで雑貨品という扱いになるため、はっきりとした効果は表記されていません。
空間除菌剤の販売元サイトなどを確認し、どのような検証のもとで商品化されたのかを比較したうえで、適切な空間除菌剤を購入するようにしましょう。