新型コロナ対策など感染対策に果たす手袋の役割とは
・公開日:2021.11.09最終更新日:2021.11.09
本コンテンツは一般的な情報の提供を目的としており、法律的、税務的その他の具体的なアドバイスをするものではありません。個別具体的事案については、必ず専門家にご相談ください。
本コンテンツの情報は、その情報またはリンク先の情報の正確性、有効性、安全性、合目的性等を補償したものではありません。
また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。
手へのウイルス・雑菌の付着を防ぐアイテムとして、手袋を使った感染対策が広く行われています。
この記事では、医療現場における感染対策に着目し、手袋の役割や選び方、正しい着脱方法などをご紹介。
手袋の利用が推奨されるシーンなどもまとめているので、すでに手袋を着用して感染対策を行っているという方も、今一度チェックしてみてください。
医療現場の感染対策における手袋の役割
手袋は、医療現場において最も頻繫に使用される感染対策用の個人用防護具(PPE)の1つです。
まずは病院などの医療現場で手袋を着用する目的と、手袋を着用しての作業・対応が推奨されるシーンなどについて詳しく見ていきましょう。
手袋は接触感染のリスク低減に有効
医療現場で手袋を着用する主な目的は以下の2つです。
- ウイルス・雑菌などによる汚染から医療従事者を守る役割
- ウイルス・雑菌などによる汚染から患者や医療機器・備品を守る役割
血液や体液によって汚染される可能性がある場合に、手袋を着用することで医療従事者の方の手指を守ります。
また医療従事者の手指に付着した病原体が患者さんやその他医療機器に伝播することを防ぐ役割も持っています。
手袋着用での作業・対応が推奨される場面
手袋を着用した状態での対応が求められるシーンは以下の通りです。
- 血液・体液・粘膜・創のある皮膚やその他の感染性のある物質に直接触れることが予想されるとき
- 便または尿失禁のある患者などの汚染されている可能性のある皮膚との接触が予想されるとき
- 汚染しているまたは汚染が疑われる患者ケアの器具、環境表面に触れるとき
- 接触感染によって伝播する病原体を保有する患者のケアを行うとき(患者に触れるとき・患者周辺の環境表面や医療機器、ベッドレールなどの物品に触れるとき)
(参考:http://jrgoicp.umin.ac.jp/ppewg/im/ppeguide_glove_v1.pdf)
厚生労働省では、標準的な感染対策の方法として、手袋を含むPPEの使用を推奨しています。
新型コロナウイルスやインフルエンザなどは接触感染による感染拡大のリスクが高いことから、日常的なケアの場面でも、手袋の着用による感染対策が求められると言えるでしょう。
ただし、一般的な事務作業や受付業務の場合は、手袋を着用しての作業は推奨されません。
同じ手袋を長時間装着することによって、かえって汚染リスク・感染リスクが増加してしまう可能性があるためです。
ゴムやPVCなどの使い捨て手袋の素材ごとの特徴
医療現場で使用される手袋には、様々な素材のものがあります。
感染対策を行ううえでは、それぞれの素材の特性やメリット・デメリットを理解し、業務ごとに適した手袋を選ぶことが大切です。
医療現場に用いられる代表的な手袋の素材と特徴は以下の通りです。
ラテックス(天然ゴム) | ニトリル(合成ゴム) | ポリ塩化ビニル(PVC) | ポリエチレン | |
---|---|---|---|---|
バリア性 | ◎ | ◎ | ○ | △ |
強度 | ◎ | ◎または○ | ○ | △ |
伸縮性 | ◎ | ○ | △ | × |
作業性 | ◎ | ◎または○ | ○ | △ |
経済性 | ○ | △ | ◎ | ◎ |
使用例 | 指先での細かい作業が必要な場合・注射処置 | 指先での細かい作業が必要な場合・注射処置 (ラテックスアレルギーの対策用) |
感染性物質による汚染リスクの少ない短時間作業・注射処置 (ラテックスアレルギーの対策用) |
指先での細かい作業を必要としない簡単な作業 |
正しい手袋の使い方とその他の感染対策
続いて、正しい手袋の着脱方法と、手袋に関する感染対策のポイント・注意点について詳しく見ていきましょう。
また手袋の着用と合わせて行いたい手洗い・手指消毒のやり方も解説していきます。
正しい手袋の着脱方法
正しい手袋の着脱方法は以下の通りです。
着け方
- 手袋の手首の部分をつかんで手に装着する
- 手袋の袖口でガウンの袖口を覆う
- 反対側も同様の手順で装着する
外し方
- 片方の手袋の袖口をつかむ
- 手袋の内側が表になるように外す
- 手袋を着用している方の手で外した手袋を握る
- 手袋を外した方の手でもう片方の手首の内側に指を入れる
- 握っている手袋を覆うような形で、内側が表になるように外す
手袋を着脱するときのポイント・注意点
感染対策として手袋を着用する際は、以下のようなポイントに注意が必要です。
- 業務に適した素材の選択と、個人に適したサイズの使用を行えるようにする
- 手袋を装着したあとは必ず穴などの破損がないかを確認する
- 使用後は速やかに手袋を外し、周囲の環境に触れないようにする
- 手袋を勢いよく外すと手指や周囲を汚染する可能性があるため慎重に行う など
また手袋を交換するタイミングとしては以下が挙げられます。
- 患者ごとに交換する
- 同じ患者でも、汚染した部位から清潔な部位へ手を移動させるとき
- 手袋が汚染されたとき
- 破損などによってバリア機能が失われたとき など
より効果的に感染対策を行うなら手指衛生も必須
手袋を着用していれば100%の感染対策ができているということではありません。
手袋はあくまでも手に付着するウイルスを軽減できるアイテムであり、完全に防止するものではないからです。
また気付かない間にできていた裂け目から雑菌が入り込んだり、手袋を外す際に手指が汚染されたりする可能性もあります。
そのため、手袋を外したあとは以下の正しいやり方で手洗い・手指消毒を行い、更なる感染対策を徹底するようにしましょう。
手洗い方法
- 流水で洗浄する部分を濡らす
- 薬用石けんを手のひらにとり、手のひらを洗う
- 手のひらで手の甲を包むように洗う
- 指・指の間を洗う
- 親指の周囲を洗う
- 爪を洗う
- 手首を洗う
- 流水で洗い流す
- ペーパータオルなどでふき取る
手指消毒方法
- 消毒液を手のひらにとる
- 両手の指先に消毒液をすり込む
- 手のひらにすり込む
- 手の甲にすり込む
- 指の間にすり込む
- 親指の周囲にすり込む
- 手首にすり込む
まとめ
- 医療現場においては、手袋の着用で患者との接触に起因する接触感染のリスクを低減させる効果が期待できる
- 手袋の素材によって特徴や使い方が異なるため、感染対策を目的とする場合は業務に応じた素材の商品を選ぶことが大切
- 正しい方法で手袋を着用しても、感染リスクをゼロにすることは難しいため、着用後は手洗い・手指消毒などの基本的な感染対策も実施する必要がある
新型コロナウイルスやインフルエンザのように、接触感染による感染リスクの高い病原体に対しては、手袋を活用した感染対策が有効とされています。
一日も早く新型コロナウイルスの収束を実現するためにも、手袋の着用や手指衛生などの感染対策を徹底していきましょう。